独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
『元々本当はあの子と付き合いたったんだけどさ、あの頃は彼氏がいたから瑠衣で妥協しただけ。でも今フリーになったみたいで俺にもチャンスが回って来たって訳』

『え……私のこと本当は好きじゃなかったの? でも何度も好きだって言ってくれたのに……嘘だったの?』

『普通それくらい言うだろ。社交辞令みたいなもの?』

瀬尾の発言は信じられないものばかり。

『信じられない……そんな酷い人だったなんて』

『今更だけど分かってよかったんじゃね? という訳でさっさと別れてくれないかな』

嘲笑するように言われ、頭に血が上った。

『最低!』

あまりにショックで、きれてしまったのだと思う。
気付けば手にしていた紙袋を瀬尾に思い切り投げつけていた。

瀬尾にぶつかる前に彼手で弾かれて床に落ちてしまったけれど。

『お前、ふざけるなよ!』

瀬尾が怒りの声を上げて、瑠衣に迫って来る。

彼の怒気に不覚にも恐怖を覚えた瑠衣は、彼のマンションを逃げ出した。

言いたい放題に責められ悔しいのに、心の中は悲しくてそれ以上彼に立ち向かう強さが出てこない。

それからどう帰ったのか記憶はないけれど、気付いたときには自宅の自室のベッドにつっぷして泣いていた。

瑠衣も知っている女性と浮気されたことだけでも辛いのに、信じていた彼は変貌して攻撃的になっていて……瑠衣が傷つくことを平然と言い、怒鳴りつけて来た。
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