独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
妥協で付き合ったと言われたのも耐えられない事実で、瑠衣の自尊心をずたずたにした。

(自分から好きだって言って来たのに。断っても何度も迫って来て……)

あれが全部嘘だったなんて信じられない。騙されていたなんて認めたくない。

だけど彼は、本気じゃなかったとはっきり態度で示した。

彼のしたことは絶対に許せないと思う。

だけど一方でまだ現実とは思えない。
彼と過ごした日々の幸せな思い出があるからなのかもしれない。
憎しみと、未だ完全に消えない情で瑠衣の心は混乱していた。

明日になったら彼が謝って来たら……そんな想像までしてしまう。

(許せないけど、こんな別れ方よりはいいのかもしれない)

売り言葉に買い言葉で心にもない発言をしたと頭を下げてくれたら。少しは救われるような気がしていた。

だけどその数日後。現実は思っていた以上に酷いものだと知ることになった。
瀬尾は誠意などかけらもない人だったのだ。

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