独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
「あそこにいた作業着の女性って瑠衣だったのか?」
「そう。晴臣さんがこっちを向いたようには見えなかったけど、作業していることには気付いてたんだね」
「どんな施設が建つのか気になっていたからな。でもまさか瑠衣がいるとは」
「作業着だし、砂埃が気になったからマスクもしてたし分からなくても仕方ないよ」
やけに拘る晴臣に、瑠衣は「それよりも」と話を修正する。
「一緒に居た人は、舟木美帆さん?」
「……ああ」
彼は瑠衣の様子を気にするようにしながらも頷いた。
予想していたとは言えショックだった。ただ絶望する、という程ではなく多少の心の余裕はある。
それは多分、彼の態度によるものだろう。なぜだか今日は安心できるのだ。
「ちゃんと説明する。」
(あ……言葉が多いんだ)
それも何かを誤魔化すようなものではなく、瑠衣が不安にならないように直ぐに応えてくれている。
「以前に話した通り、彼女は取引先の秘書で……」
晴臣は簡潔に、恐らく大切なところだけを語ってくれた。
舟木美帆とバーで出会い、段々と距離感がおかしくなり、やっかいに感じていたこと。
今回先方の会社にクレームを入れたのが原因で彼女に待ち伏せをされたが、近づいて来た事情が驚きの内容だったことなど。