交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「気を遣わせて悪いな。ありがとう」
「いえ。では、いってらっしゃいませ」
ドアのほうに手を向けて恭しく頭を下げる。
「ああ、いってくる」
吉鷹はハンガーラックにかけておいたスーツのジャケットを羽織り、副社長室をあとにした。
自分の車に乗り込み、マリアンジュを目指す。今日は彼女も仕事だが、昨夜のうちに約束を取りつけていた。
婚姻届けにはふたりのサインはもちろん、証人欄に互いの父親が名前を連ねている。いよいよ、それを提出するときがやってきた。
マリアンジュ近くのコインパーキングに車を止め、サロンに向かう。十一月間近の午後。入籍にぴったりの澄んだ青空が広がり、とても清々しい。
エントランスから中へ入ると、すぐさま女性スタッフが足早に近づいてくる。
「いらっしゃいませ。本日はご予約を……」
そこまで言った彼女が吉鷹の顔をまじまじと見てハッとする。