交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
美春は腕時計でたしかめてから、吉鷹をエントランスのすぐ近くにあるソファへ案内した。
ちょうど茉莉花のいるブースが見える位置だ。彼女は女性客と向かい合って打ち合わせしており、吉鷹の存在にも気づいていない。真剣な横顔にはときに笑みが浮かび、女性客に優しく向けられている。
「失礼します」
先ほど吉鷹を案内した女性スタッフが再び現れた。コーヒーの入ったカップを小さなテーブルに置く。
「お待たせして申し訳ございません。茉莉花はいつも人一倍親身になって相談に乗るので、つい時間もオーバーしがちで」
美春は時計をチラッと見やってから微笑んだ。
「そうですか」
「担当したカップルの結婚式でも感極まって泣いちゃうくらい毎回真剣に取り組むから、新婦伝手で新たなお客様をご紹介いただいたりもするんです」
吉鷹は彼女についてまだ半分も知らないだろう。しかし、そんな彼女の姿は容易に想像でき、つい頬が緩む。