交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

普通の人が歳月をかける結婚までのアプローチを早送りした感じだ。悩んでいる暇もない。


「美春が期待している展開には、まだなっていません」
「そうなの?」
「吉鷹さんが、無理にそういう行為はしないって。少しずつ距離を縮めてからにしようって」
「〝吉鷹さん〟だって」


美春が口元にてを添え「ふふふ」と楽しげに笑う。


「夫婦なんだもん、名前で呼び合うでしょ」
「うん、そうなんだけど、最初が〝観月様〟だったから、その変わりようがね」
「……ほんとだよね」


たかだか一カ月のうちにお客様から旦那様になるなんて、誰が想像するだろうか。きっと恋愛の神様だって想定外だったに違いない。〝なに、そこのふたりがくっついちゃう?〟と驚いたはずだ。

――驚いたといえば。


「ね、美春、菊川マネジャーなんだけど」


つい先ほど知らされた彼の結婚話を美春にしようとして思いとどまる。
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