交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

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紫にヘアメイクする茉莉花の真剣な様子は、以前サロンで待ち合わせしたときに見かけた彼女の姿を吉鷹に思い出させた。

仕事に熱中する彼女の凛々しさと美しさが、吉鷹の視線を独占する。その横顔から目が離せなかった。

サロンのとき同様、もう少し眺めていたいと思った矢先、ヘアメイクを終えて紫の好感触を得た茉莉花の笑顔が弾ける。うれしそうに吉鷹に振り返った彼女を見て、鼓動が不規則なリズムを刻んだ。

不整脈に似ているくせに、気分は悪くない。それどころか、その高鳴りは心地よくすらあった。

ヘアメイクと着付けをしてもらった紫はご機嫌な様子でマンションをあとにし、茉莉花はいつもよりひと足遅く出勤。その後ひとりの休日を自宅でゆっくり過ごした吉鷹は、夕刻になってからマリアンジュに向かって車を飛ばしていた。

もちろん茉莉花を迎えにいくためだが、彼女には知らせていない。いきなり現れてサプライズを仕掛ける魂胆だ。

たぶん茉莉花は驚くだろう。〝どうしたんですか!?〟と目を丸くするか、それとも〝連絡もなしに迎えにくるなんて〟と強気の発言をするか。
それを想像するだけでも楽しい。ハンドルを握りながら自然と口角が上がる。
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