交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「やっぱりなんでもありません!」
早口で言って彼に背中を向ける。
(もうっ、私、なに言ってるの! 〝キスなら〟ってなに)
そのキスだって、まだまだ初心者なのに。片手で数えられる程度の経験数だ。それも相手は吉鷹ひとりだけ。
「思ったことをはっきり言うのが茉莉花のいいところだろ」
「ひゃっ」
肩先を掴まれ、体を反転させられる。吉鷹と向き合う格好になったため、視線の行き場に困った。
「デリカシーがないみたいですね」
「自分の感性と知性をもとに、しっかりした意見や認識があるってことだ」
「……褒めてます?」
「一応」
こっそり覗き見るようにすると、吉鷹はふっと鼻から息を漏らすようにして笑い、茉莉花を仰向けにしつつ自分の体を起こした。両手をバンザイでベッドに縫い留められるようにし、動きを封じ込める。