交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

その夜、仕事帰りにドラッグストアで購入した妊娠検査を試した茉莉花は、その結果を前にして呆けたようにリビングにいた。

ソファではなくフロアのラグの上に力が抜けたようにペタンと座り込む。

夫婦生活があれば妊娠してもおかしくないのはわかっている。でも、まさかこんなに早くそんな知らせが舞い込むとは。
うれしさよりも驚きのほうが大きく、体とは裏腹に心は落ち着かない。

(吉鷹さん、どう思うかな……。喜んでくれるかな)

もともと彼は、観月建設の揺るぎない未来のために後継者を作るのが目的だった。だとすればきっと歓迎してくれるだろう。

そう思うと、じわじわと喜びが沸き上がってくる。座っているのに羽が生えたみたいにふわふわとした心地だ。

ふと腕時計を見て、夕食の準備をしようと立ち上がったときだった。玄関から開錠する音が聞こえて、吉鷹がリビングに現れる。


「ただいま」
「おかえりなさい」


吉鷹は茉莉花を引き寄せ、お決まりのキスをした。
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