交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
暇なのは間違いないが、用件もちゃんとある。
《それじゃどうしたの? ホームシック?》
結婚する以前にひとり暮らしを二年間しているのだ。今さら恋しくはならない。
「今日ね、病院に行ってきたの」
《病院? どこか具合が悪いの?》
「ううん、病気じゃないから心配しないで。私、妊娠したの」
《……えええっ!? 本当に!?》
数秒の沈黙ののち、和美が声を裏返らせる。
《ちょ、ちょっと、お父さーん! 茉莉花が……!》
自宅と隣接している設計事務所に急いで向かっている様子が目に浮かぶ。その後は父、哲郎と代わる代わる電話に出て、喜びとお祝いのコメントをたくさんもらった。
通話を切るときには《くれぐれも体を大事にね。手が必要なときはいつでも呼ぶのよ?》という心強い言葉をかけられた。
(吉鷹さんのご両親への報告は彼に任せてもいいよね)