交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
彼の母親のヘアメイクと着付けをして多少なりとも距離は縮まったと思うが、自分から連絡を入れる勇気はまだない。
後継者を待ち望んで茉莉花を息子の妻として迎え入れただろうから、喜んでくれるとは思うけれど。
そんなことを考えながらお茶でも飲もうと思い立ち、茉莉花はキッチンに向かった。
(そうだ、妊娠中ってカフェインは控えたほうがいいんだよね。とすると、コーヒーや紅茶はあまり飲めないか……。たしか緑茶にもカフェインが入ってた気がするし)
スマートフォンを持ち出して、カフェインのない飲み物を検索していると、インターフォンが来客を知らせて鳴り響いた。茉莉花がこの部屋に住むようになってから、初めての訪問者だ。
「誰だろう。宅配便でも届く予定があったのかな」
ひとり言を呟きながらモニターの画面をタップし――。
そこに映し出された人物に絶句する。荒牧結愛だったのだ。
(どうしてここへ? なにをしに?)
彼女がここへ来るなんて予想もしていない。好きな男性のもとに逃げた結愛と、こんな形で再会するとは誰も思わないだろう。