交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

いったいなにを話すつもりだろう。心臓がドクンと脈を刻み、第六感が小さな警告を発する。会うのは避けたほうがいい予感に包まれたが、今ここで追い返しても再びやってくる気がした。

(もしかしたら吉鷹さんに謝りたいのかもしれないし)

都合よく考えた直後、平日の昼間なら彼がここにいないのはわかっているはず。つまり〝妻〟に会うために訪ねてきたのだ。

しかし結愛には好きな人がいる。その人と生きていくために挙式から逃げたのだから、吉鷹の妻に会うのは単なる興味本位だろう。

そう結論づけ「わかりました」と答え、オートロックを解除した。

数分後、再度鳴ったインターフォンで玄関のドアを開ける。
結愛は顔を出した茉莉花を見て、まばたきを激しく繰り返した。


「伏見さん、あなただったの!?」
「荒巻様、その節はマリアンジュをお選びくださりありがとうございました」


どぎまぎしつつ、形ばかりの挨拶をする。


「ちょっと待って。頭の整理がつかない……」
< 195 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop