交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
結愛は首を軽く横に振り、困惑して視線を彷徨わせた。
「……あがりませんか?」
玄関先で立ち話していたら隣近所の目もある。茉莉花は結愛を招き入れた。
婚約者ならここへは来たことがあるだろうか。それとも冷めた関係だったから初めての訪問だろうか。
リビングに案内してソファを勧めると、結愛は物珍しそうに室内を見回した。その様子から初めてだとわかる。
キッチンでひとり分のコーヒーを淹れ、彼女の前に置く。茉莉花は向かいに腰を下ろした。
「どうして彼とあなたが結婚なんて」
「荒牧様が――」
「ごめんなさい、その〝様〟っていうのはやめていただける?」
茉莉花を制し、敬称を遠慮する。
「荒牧さんが逃げた挙式で花嫁の身代わりを務めたのがきっかけです」
「花嫁の身代わり!? 伏見さん、正気!?」
結愛は目を丸くして声のトーンを上げる。