交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
その夜、吉鷹が帰宅したのは午後六時を少し回った頃だった。いつもより二時間弱早い。
玄関で物音がしたため、急いで出迎える。
「おかえりなさい。今日はずいぶん早いですね」
「ただいま、茉莉花。そんなに慌てて歩くなって」
体を気遣っているのだろう。吉鷹は靴を脱いであがり、茉莉花を優しく抱きしめた。
「このくらい全然平気。心配し過ぎですから」
「大事にして、し過ぎることはない」
「なにもしない、できない奥さんになりますよ?」
「俺を脅すとは大した度胸だ。あれから体調はどうだ?」
引きはがした茉莉花の鼻を軽くつまんで笑い、顔色をじっと観察する。ふたつの瞳が左右に揺らいだ。
「体は大丈夫です」
「それはよかった」
「ただ……」
「ただ?」
結愛の訪問は話しておいたほうがいいだろう。
「荒牧結愛さんがここに来ました」
「彼女がここへ!?」