交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

美春は隣のテーブルで休憩中の同僚に聞こえないように声のトーンを抑えた。

マネジャーの菊川と内密で付き合ってきたため、自分のほうが先だろうと考えていたとしても無理はない。ふたりの関係は職場では未だに秘密。正式に婚約してからオープンにしようと考えているらしい。


「ほんとにね」
「例の社長就任式は予定通り出席するの?」
「一応そのつもりだよ。ヘアメイク、よろしくお願いします」


箸を置き、膝の上に手を乗せて頭を下げる。


「それはもちろん任せて。どんなスタイルにするか決めておいてね」
「うん、ありがとう」


少し先の未来の話をしていると、結愛が昨日マンションを訪れてとんでもない発言をしたことが夢のように思えてくる。幸せな日々を過ごしていたため、彼女の逃亡劇はすっかり忘れ去っていた。

茉莉花は美春に微笑み返し、冷製うどんをすすった。
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