交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「荒牧さんの要求には応じられません」
結愛はオーバーにため息をついた。
「伏見さんは、ここを訪れるお客さんの希望を聞き入れるのがお仕事よね」
だから結愛の願いを聞き入れろと言うのだろうか。
茉莉花をはじめとしたマリアンジュのスタッフは、新郎新婦にとって最高の式になるよう最善を尽くすのが仕事である。難しい依頼をされても、どうにか叶えられる道はないか一丸となって取り組んでいる。
しかし今の結愛の希望は、そこから大きく逸脱しているものだ。理不尽極まりない。
「ハワイでは叶えてくれたじゃない。だからお願い、伏見さん」
いつかのように両手を顔の前で合わせ、結愛が懇願する。
あのときは彼女のこの切実な訴えに心を動かされたが、今は違う。
「お客様のご要望はできる限り叶えるよう尽力しています。ですが――」
「伏見さんのお父様、設計事務所をやっているでしょう」