交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

愛し合っているだけで済む話ではなくなってしまった。

新都銀行の融資がなくなれば、彼女の言うようにどの会社も大変な事態になる。一大プロジェクトが動き出している観月建設にとって、今は正念場かもしれない。

表面的な事情だけ考えたら、誰が身を引くのが一番なのかは嫌でもわかった。

結愛もそこを言っているのだろう。愛情で歯が立たなければ、財力で茉莉花を圧倒しようというのだ。

茉莉花では巨額の資金を用立てるのはとうてい無理。大きな後ろ盾がある結愛だからこそできることだ。普段なら臆せず言い返せる茉莉花でも弱気になり、言葉を見つけられない。


「とにかくよく考えて。みんなの未来は私が握っていることを忘れないで」


ガタンと音を立てて椅子から立ち上がる。結愛は、自信たっぷりな空気をまき散らして個室を出ていった。

直後に美春が「大丈夫?」と顔を覗かせる。心配でドアの向こう側に待機していたのかもしれない。


「……うん」
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