交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
彼と結婚したいがために茉莉花に離婚を迫っていると聞かせたときには、美春は「なに、そのふざけた言い草は!」とベッドのサイドレールを拳で叩くほど憤慨した。
ハワイで逃亡した過去をまったく悪びれていなかった態度を改めて思い返し、茉莉花の胸にもモヤッとしたものが広がっていく。こういうストレスがお腹の赤ちゃんには良くないと、急いで深呼吸してやり過ごした。
「わがまま過ぎて呆れるのを通り越す。だってほかに好きな人がいるって逃げ出したんでしょう? それなのに今さら観月さんのところに戻りたいなんて、どういう神経してるの? 移り気なのは勝手だけど、他人に迷惑をかけるなんて最悪。根性が曲がってるどころか腐ってる。私がその場にいたら、罵って追い返したのに!」
茉莉花の代わりに毒を吐く美春が、鼻息荒くまくし立てる。そんなに怒っている彼女を茉莉花は初めて見た。
「今度サロンに来たら、茉莉花は応対しなくていい。私が代わりに会うから」
「そんな、大丈夫だから」
「ダメ。体に障るし、茉莉花になにかあったら大変」
美春はきつく諭し、茉莉花に「わかった?」と念を押した。
優しい気遣いが頼もしく、とても心強い。横になったまま「ありがとう」と頭を下げる真似をした。