交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

狂気にも似た声が混乱しはじめた場内をつんざく。
それは茉莉花の耳から侵入を果たし、体内を通って胸を貫いた。

(吉鷹さんの妻は、彼女……)

黒いドレスを着た結愛の言葉が、呪詛のように茉莉花の頭と心に絡みつく。それはぎゅうぎゅうと茉莉花を締めつけ、呼吸がうまくできなくなっていく。

激しく打ちつける鼓動、震える足。目の前の光景がだんだんと白くぼやけてきた。

いよいよ立っていられなくなり、膝からガクンと崩れた次の瞬間、茉莉花はその場で意識を手放す。かすかに「茉莉花!」と叫ぶ、吉鷹の声が聞こえた気がした。
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