交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「……花、目を覚ましてくれ。茉莉花」
すぐそばで聞こえた声に誘われるようにして瞼をゆっくり持ち上げる。
「……吉鷹さん」
切なげに眉を寄せた吉鷹の表情がふっと緩む。
頬や髪に感じていたのは潮風ではなく、彼の手だった。
「よかった……。大丈夫か?」
夢から覚めてハッとする。とっさに手をあてたお腹はまだ膨らんでいないため、どんな事態になっているのかわかりようもない。
「赤ちゃんは? 無事ですよね?」
「ああ、心配いらない。無事だ」
吉鷹の言葉に安堵する。深く息を吐き、胸を上下させた。
「茉莉花はどこか痛んだりしないか?」
「大丈夫。どこも痛くないです」