交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
抵抗に力尽きたのか、ソファに身を投げ出していた彼女は、吉鷹の登場で立ち上がる。
「吉鷹さん!」
ここへ連行されてもなお、好意的に吉鷹の名前を呼べる神経がまったく理解できない。これほどまでに空気も状況も、自分の置かれた立場も把握できない人間だったのか。
結愛は顔をパッと明るくさせた。
「なぜここへ連れてこられたのか、わからないのか?」
「……就任式を混乱させたことなら謝ります。でも――」
「キミはまだ、俺の妻だと言い張るつもりか。俺の不在中、茉莉花に接触したそうだな。観月建設や彼女の父親が経営する設計事務所への融資を打ち切るよう、自分の父親に働きかけると脅したと」
彼女の前に立ち、上から威圧的に見下ろした。
険しい表情から吉鷹が苛立っているのはわかるだろう。結愛は一瞬目を泳がせた。
「だ、だってそれは、あの人が吉鷹さんと別れないって」
「あたり前だ。俺がいつ茉莉花と別れてキミと一緒になると言った?」