交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
車で来ていると聞いたときに、真っ先に思い浮かんだのが長い車体の超高級車だった。黒づくめの運転手が降り立ち、恭しく乗せられる画である。
「仕事で移動するときは専属の運転手がいるが、プライベートまでそうしたら身動きがとりづらい。それとも運転手つきの車じゃなくてガッカリしたとか?」
「いえ、そうではありません。大企業の御曹司はそういうものだというイメージです」
「棘のある言い方だな。嫌悪感が滲んでる」
「そういうつもりでは……。嫌な気分にさせたのでしたら申し訳ありません」
不快そうにする吉鷹に素直に謝る。言われてみれば、そう聞こえなくもないと反省だ。
「そういうのも含めて俺はキミの誤解を、いや、誤解ではないのか。改心? そうだな、俺の改心ぶりを見せつけなくてはならないわけだな」
ひとりで言いなおす様子がおかしくて、ついふっと笑いが漏れる。
「なんだ、笑えるんじゃないか」
吉鷹が目を丸くしたため、茉莉花は急いで表情を引きしめて取りなした。