交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

彼の宿泊先のホテルに招かれたときのことを言っているのだろう。


「あのときはお断りするのは失礼かと思ったので、口を少しだけつけました」


茉莉花の言葉に、吉鷹がなぜかニヤッと笑う。


「いい傾向だ」
「なにがでしょうか」
「ハワイでは俺に遠慮してワインを飲んだのに、今は飲みたくないとしっかり自己主張してる。つまり多少は距離が近づいたわけだ」
「そういうわけでは……。ハワイでは観月様、じゃなくて観月さんにお客様として接していたので」


自分の考えに自信を持っているのか、茉莉花がそう言っても吉鷹にはまったく響いていないらしい。それどころかべつの箇所に反応を示す。


「律儀に名前を呼びなおすとは、茉莉花は素直だな」


妙に上機嫌で「スパークリングウォーターにしよう」と注文した。

吉鷹の精神力の強さは人並みを大きく超えている。花嫁に逃げられても平然としていられるのだから、相当タフな人間といえるだろう。
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