交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
ふと尋ねられ隣を見る。彼は茉莉花の顔を覗き込むようにしていた。
「子どもの頃から人の髪の毛をいじるのが好きだったんです」
友達の長い髪をヘアゴムで結って、いろんな髪型にするのが大好きだった。最初は不格好な仕上がりにしかならなかった腕は、めきめき上達。中学を卒業する頃には茉莉花のヘアアレンジが学校で流行り、休み時間に列を作るのもしばしばだった。
高校ではメイクにも興味を抱き、休日にはヘアアレンジとセットでやってほしいという友達が何人もいた。
「それじゃ子どもの頃の夢を叶えたわけだ」
「そうですね」
それはとても幸せなことだろう。
とくにブライダル関係の仕事の場合、一生に一度の特別な瞬間に立ち会うことになる。特別な一日に最高に綺麗でいてもらうためにヘアメイクをするのはプレッシャーではあるが、『綺麗にしてくれてありがとう』と声をかけてもらえばアーティスト冥利に尽きる最高の瞬間だ。
「でも、じつはもうひとつ夢見ていたものがあって」
「へえ。なんだろう」