交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
観月建設本社ビルの三十階で行われている取締役会で、吉鷹は今後の会社の指針について熱弁をふるっていた。
「先般、着工したベトナムのハノイにおける大規模な橋梁事業を足掛かりに、東南アジアにおけるインフラシステムの海外事業に本格的に取り組まなければなりません。国交省においても〝国土交通省インフラシステム海外展開行動計画〟を策定するなどしており、各種取り組みを進めはじめました」
ハノイの事業は、フラグシップとして東南アジアを中心とした海外開発事業を展開するための布石である。観月建設における新中期経営計画の中でも開発事業を重点分野のひとつと位置づけている。
「ですが、もちろんほかの大手ゼネコンも狙っていますから、当然激戦となるのは予想されますよね」
吉鷹の言葉に取締役のひとりが弱気な発言をする。
「国交省との繋がりをご心配されているのでしたら無用です」
社長交代に伴う社内士気の低下や事業停滞を危ぶむ国交省の西宮大臣にも、観月建設のさらなる発展の裏づけとなるよう今後三年間の海外事業策提案を提示済み。ハワイでは妻を娶り、後継者としての揺るぎない基盤を見せつけた。