クールな御曹司の溺愛ペット【続編完結しました】
八坂の街並みを散策しながら連れられて入ったのは、数寄屋風の造りで京都の趣が感じられる落ち着いた料亭だ。
入口の引き戸が小さくカララと耳に心地よく響き、食欲を刺激する揚げ物の香りがほのかに漂う。
カウンターに案内されると、ライトアップされたお庭が情緒を感じさせる何とも落ち着いた空間が広がっていた。
「素敵なお店ですね」
「以前仕事で訪れたことがあってとても美味しかったから、千咲にも食べてもらいたいと思った。だけど急だったからな、個室は取れなかった」
「このカウンターの席で十分嬉しいです、ありがとうございます」
一成さんが気を利かせて直前に予約してくれたためコース料理が運ばれてくるのだが、目の前に立て掛けられたメニュー表をついつい手にしてしまう。
塚本屋のカフェでメニュー表を見るべく、そんな軽い気持ちで開いたわけなのだが、
――夜のコース料理 一万五千円――
とかなりの金額に一瞬時が止まった。
よくよく見ればそれが一番低い金額であり、上を見ればキリがないほど。
「どうかしたか?」
「い、一成さん、私……」
「嫌いな食べ物でもあったのか?」
「いえ、お財布事情が……」
お財布にいくら入っていただろうか。
いざとなったらクレジットカードでも大丈夫だろうか。
血の気が引く思いで一成さんを見やるが、一成さんは涼しい顔をしている。
「食事代も宿泊代もすべて俺が払うから、千咲は気にしなくてもいい」
「いや、そんなわけには……」
「千咲が喜ぶ顔が見たい」
だめか?と柔らかく微笑まれて、私はもう帰ってこれないところまで落ちた。
一成さんの魅力が大きすぎて直視できない。
入口の引き戸が小さくカララと耳に心地よく響き、食欲を刺激する揚げ物の香りがほのかに漂う。
カウンターに案内されると、ライトアップされたお庭が情緒を感じさせる何とも落ち着いた空間が広がっていた。
「素敵なお店ですね」
「以前仕事で訪れたことがあってとても美味しかったから、千咲にも食べてもらいたいと思った。だけど急だったからな、個室は取れなかった」
「このカウンターの席で十分嬉しいです、ありがとうございます」
一成さんが気を利かせて直前に予約してくれたためコース料理が運ばれてくるのだが、目の前に立て掛けられたメニュー表をついつい手にしてしまう。
塚本屋のカフェでメニュー表を見るべく、そんな軽い気持ちで開いたわけなのだが、
――夜のコース料理 一万五千円――
とかなりの金額に一瞬時が止まった。
よくよく見ればそれが一番低い金額であり、上を見ればキリがないほど。
「どうかしたか?」
「い、一成さん、私……」
「嫌いな食べ物でもあったのか?」
「いえ、お財布事情が……」
お財布にいくら入っていただろうか。
いざとなったらクレジットカードでも大丈夫だろうか。
血の気が引く思いで一成さんを見やるが、一成さんは涼しい顔をしている。
「食事代も宿泊代もすべて俺が払うから、千咲は気にしなくてもいい」
「いや、そんなわけには……」
「千咲が喜ぶ顔が見たい」
だめか?と柔らかく微笑まれて、私はもう帰ってこれないところまで落ちた。
一成さんの魅力が大きすぎて直視できない。