恋がはじまる日

芽生えた恋心


 二学期になってなにかと慌ただしい日々。

 文化祭が終わって間もなくの今日、体育祭が行われていた。

 暖かかった、いや暑かった文化祭から二週間しか経っていないにも関わらず、気温は例年よりあっという間に下がっていき、冬の訪れを予感させる。
 そんな中、今日は信じられないくらい暖かな晴天となった。まさに体育祭日和である。選手宣誓を終え応援席に戻る頃には、ちょっと暑いくらいの陽が差していた。

 我が二年Ⅾ組が所属するのは、白組。なんでもここ数年白組は連敗中とのことで、紅組や黄色組に優勝旗は渡り続け、前回白組にまわってきたのは何年前のことやら、という状況である。


「今年は白組、絶対優勝!」

 そう高らかに宣言する椿は、今朝から様々な競技に出場していた。短距離・長距離、ハードル走、パン食い競争に、リレーにも出る予定だ。

 さすが陸上部。体力が無限に湧いてでもくるのだろうか?
 一応私も運動部ではあるし、運動が苦手という訳ではないけれど、マネージャーと選手ではやはり全然違う。私ももう少し体力をつけた方がいいかな。
 そんな私が出る種目は、障害物競争のみである。


「美音、俺めっちゃ頑張るから、応援してて!」

「うん、もちろん!頑張って、椿!」

「ありがと!クラス優勝も目指して、頑張るぞー!」

「おー!」
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