黒い龍は小さな華を溺愛する。
相羽くんは彼氏だけどキスすらしたことないのに。
「これ被っとけばブスでもやれんな」
「だろ?これが絵理沙(えりさ)だと思えばよくね?」
絵理沙っていうのは、うちの学校のマドンナ的存在の平永絵理沙(ひらながえりさ)のことだろう。
「まあ、スタイルだけは悪くねぇな」
よく聞いてるともう一人は同じクラスの伊田(いだ)くんっぽい声だ。
部屋には私と相羽くんしかいなかったはずなのにいつの間に!?
相羽くん……
なんで?
なんでこんなこと!
相羽くんだけは私の味方だって、信じてたのに。
どうして……。
「なぁ、でもチクられたら俺ら終わり……じゃん?」
伊田くんが少し不安げな声で言うと、相羽くんの笑い声が聞こえた。