黒い龍は小さな華を溺愛する。


「大丈夫!?」


紫藤くんが腕を掴んでくれた。


「う、ん……」


怖かった。

喉が震えて、声にならない息が漏れる。

秋元に叩かれた頬が今になってじんじんと痛んだ。


「なんで……常盤くんが……」


嗚咽混じりに声が出る。

ここに来てやっと涙が溢れた。

紫藤くんが上着を脱いで、私の肩にかけてくれた。


「……あいつさ、ずっと我慢してたんだよ」


ぽつりと落とされた言葉に、私は顔を上げた。


「Demonの動きも神楽の動きも、全部裏で探ってた。でも今日まで動かなかったのは、半端に手を出して、あいつらを取り逃がさないためだった」


「全部、知ってたの……?」



「夕晴はすぐ沙羅ちゃんに言いたがってたよ、だから何度も止めた。今回の事がなければあいつらまたやる気だったろうしね……沙羅ちゃんには悪いけど、おとりになってもらったんだ、ごめん……」


紫藤くんが申し訳なさそうに項垂れる。

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