黒い龍は小さな華を溺愛する。

「でも、常盤くんがきてから協力するのやめるって言って……」


そういえば、いつの間にか姿が見えなくなっていた。


「あの人はそういう人だよ。信じちゃダメなタイプ」


最初に会った時、確かに何かありそうな人だとは思ってたけど。

それでもあの夜は常盤くんたちと楽しそうにしてるなって、2つのチームは仲良いんだなぁって微笑ましく見ていたのに。

私は何も言えず、ただ唇を噛んだ。

裏切られた現実が、ようやく形を持って胸に落ちてくる。


「あの人も秋元も、絶対に信じちゃダメ。嘘の塊のような人たちだからね」


「うん……」


私はまだこの世界を全然わかっていなかったんだ。

人の優しさも、悪意も。

甘く見てしまっていたんだな……。


その時、紫藤くんのスマホが、静かな空気を切り裂くように震えた。


画面を見た紫藤くんが小さく息を吐く。


「倉庫に行った連中からだ」


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