黒い龍は小さな華を溺愛する。

常盤くんの視線が夜景の向こうに逸れた。


「でもそれは恋愛の〝好き〟とは違う。ただの自己満だから。理想の俺っていうのがあるんだろうけど、無理にそれを押し付けんなって言ってやった」


「そうなんだ……私余計なことしちゃったよね」


「いや、瑠亜のこともどっかでちゃんと区切りつけねーとって思ってたから。ちょうどよかったんだよ」


少し間を置いて、息を吐く。


「沙羅以外、考えられねぇっていうのも伝えた」


「っ……」


夜風が吹いて、常盤くんの前髪が揺れる。


「瑠亜もちゃんとわかってくれた。沙羅にひどい事言って悪かったって、そう伝えてくれって」


「瑠亜さんが……」


「あのさ、水族館で瑠亜としゃべったんだって?」


「あ、う、うん……」


「だからあの時変だったんだろ、ちゃんと言えよなー!」


私の頭を少し乱暴にかき乱す。


「ごめんっ……色々考えちゃって」


「アホだな沙羅は」


「なっ」


「これからは一人で考えんな、全部吐き出さねーと許さねぇ」

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