黒い龍は小さな華を溺愛する。
アパートの前までバイクで送ってくれた常盤くん。
また後ろ座席に乗れる日がくるなんて思わなくて。
乗ってる間、夢なんじゃないかと何度も思った。
夜も遅く、共用廊下の蛍光灯だけが白く光っている。
「ここでいい?」
「うん……送ってくれてありがとう」
「本当は帰したくねぇけど……やっと捕まえたのに」
そう言って私の右手を離さない。
「私もずっと常盤くんの側にいたいよ……」
その時だった。
一台のタクシーが近くで止まり、母が中から降りてくる。
「あれ、沙羅のお母さんじゃね?」
「うん……」
スマホを見ると0時近くだった。
仕事が早めに終わったんだろうか。
私たちに気付き、「こんな時間に何してんの?」と怪訝な表情を見せた。
「遅くまで連れ回してすみません」
私の横で頭を下げる常盤くん。
「ちょっ、謝らなくていいよ!連れ回してもないし!」