黒い龍は小さな華を溺愛する。

そんな私を見て、母が鼻で笑う。


「あんたらさぁ、別れたと思ってたけど復活したんだ?」


遠慮も配慮もない、いつもの言い方。

胸の奥がきゅっと縮む。


すると常盤くんが一歩前に出た。


「ご心配おかけしました」


低く落ち着いた声。


「俺の気持ちは最初から変わってません。沙羅さんのことが大切です。これから先も俺が責任を持ってそばにいます」


「常盤くんっ……」


プロポーズのような言葉に思わず胸を打たれる。

母も一瞬、驚いたように目を瞬かせた。


「そう……」と、少しだけ何かを考えて。


「私はさ……沙羅がこういう見た目だから……変な男が寄ってこないように昔から気を付けてたの」


ドキッとした。

母がこんなことを誰かに言うのは初めてだったから。


「派手にならないように、目立たないようにって。暗いくらいがちょうどいいって……縛ってた」


「お母さん……私、そのせいでさ、小さい頃からいじめに遭ってたんだよ?」


震える声で伝える。


今まで決して言えなかったこと。






< 278 / 297 >

この作品をシェア

pagetop