黒い龍は小さな華を溺愛する。
「もうそういう思いはさせません、俺がずっとついてますから……」
常盤くんの言葉に、母は一瞬だけ目を伏せた。
強がりでも皮肉でもない、真っ直ぐな声だったから。
「……あんた、強いんだね」
そう言って私を見る。
その視線は、今まで向けられてたどんなものとも違っていた。
「守るつもりだったのに、守り方を間違えた。傷つけてたことにも気づかないふりしてさ」
胸の奥がじわっと熱くなる。
でも同時に、苦しかった記憶も一緒に溢れてきて――。
「……わかってくれたのは、嬉しいよ」
勇気を振り絞るように、息を吸ってから続ける。
「でもね、お母さん。辛かったことまで全部なかったことにはできない」
母の表情がほんの少しだけ歪む。
「許せないっていうより、まだ消化できてないだけ……それでには時間が必要だと思う」