黒い龍は小さな華を溺愛する。
それは拒絶じゃない。
でも、迎合でもない。
私なりの、正直な気持ちだった。
「……そっか」
母は小さく息を吐いて、苦笑した。
「それでいいよ。無理に許されても、私が楽になるだけだもんね」
そう言って、アパートのドアに手を掛ける。
「……夕晴くん、だっけ」
「あ、はいっ」
「こんな親でごめんね、あんたがいなきゃ……この子壊れてたわ。それは本当に感謝してる。これからもこの子の側にいてやって」
少し寂しげな表情で笑い、中に入って行った。
バタン、と閉まるドアの音が、やけに静かに響いた。
それと同時に私は深く深呼吸した。
「……びっくり、した」
ぽつりとこぼすと、常盤くんが隣で小さく笑った。
「無理しなくてよかったと思う」
そう言って、私の肩にそっと手を回す。
「全部許す必要なんてねぇよ。でも、ちゃんと気持ち言えたのはすげぇと思う」