黒い龍は小さな華を溺愛する。
私は一瞬迷ってから、常盤くんのお母さんの背中をそっと撫でた。
「大丈夫ですよ、ちゃんと伝わってますから」
「……ごめんなさいっ」
肩を震わせながら涙を流す。
その時、常盤くんが口を開いた。
「母さん、もういいから。自分を責めるな」
常盤くんのお母さんが顔を上げる。
「夕晴……?」
目を見開き、常盤くんを見つめる。
「俺は何ともない。元気にやってるし。だからもう気にすんなよ」
「ごめんなさい……」
何度も何度もそう呟いては涙を流していた。
ここの病室で何度それを繰り返していたんだろうと思うと、胸が締め付けられた。
きっと自分を責め続ける毎日だったんだろうな。
私には、背中をさすってあげる事しかできなかった。
「チューリップ、飾っておきますね」
少し落ち着いてから、花瓶に水を入れに行った。
二人っきりで話したいこともあるんじゃないかと思って、少し遅く戻ることにした。