黒い龍は小さな華を溺愛する。
私は何も言わず、常盤くんの腕にそっと抱きつく。
「寂しいって思っていいんだよ」
「……ん」
「何も恥ずかしい事じゃないからね」
「……沙羅がいてくれてよかった」
私の頭に顎をのせてくる。
その体温が、少しだけ震えている気がした。
それは強い男の言葉じゃなくて、
ずっと一人で踏ん張ってきた人の、やっとこぼれた声だった。
私はぎゅっと腕に力を込める。
「これからは、一人じゃないから」
「ん……」
過去は消えない。
傷も苦しさも、思い出したくない記憶もなかったことにはできない。
それでも、この人はちゃんと愛されてる。
それを、私は知れただけでよかった。
常盤くんにとって、
私が弱さを吐き出せる場所でいられればいいなと思った。