黒い龍は小さな華を溺愛する。
隣でいつまでも……
久しぶりの鳳凰は、変わらない匂いがした。
スープの湯気と、少し焦げたチャーシューの香り。
入った瞬間に懐かしくなるような、そんな場所。
暖簾をくぐると、カウンターの奥からすぐに篠原さんの声が飛んできた。
「沙羅ちゃんか!?」
「はいっお邪魔しますっ」
「何堅苦しい事言ってんだよ、ゆっくりしていきなー!」
笑顔で迎えてくれるこの場所に戻って来れてよかった……。
そしてその隣で手伝っていたのは、なんと律くんだった。
篠原さんの横からひょっこり顔だけ出している。
「え……沙羅さん!?」
次の瞬間、一気に顔が明るくなった。
「え、え!?2人別れたんじゃねーのかよ!?」
「あ?別れてねぇよ」
後から入ってきた常盤くんが、少し不機嫌そうにそう答える。
「なぁんだ、夕晴最近元気なかったし、空気もおかしかったし絶対別れたのかと思ってたのに!」
横から篠原さんに「余計なこと言うんじゃねぇ!」と頭を小突かれている律くん。