黒い龍は小さな華を溺愛する。
「俺だって心配してたんだよ、沙羅さんも来ないし」
そう言いながら、律くんは開店の準備をしている。
少しいじけているのが可愛く感じた。
「家族みたいに暮らしてんだからさ、ちゃんと話せよな」
律くんのその言葉に、胸がじんわりと温かくなる。
ここは、常盤くんにとってただのラーメン屋じゃない。
ちゃんと居場所なんだ。
常盤くんは何も言わず、厨房に行って律くんの頭をポンポンと撫でた。
「おいっ子ども扱いすんなよ!」
「まだ子どもだろ?」
怒りを買うであろうその返しに、律くんは眉間を険しくさせてため息をつく。
「沙羅さん……こんなガキみたいなやつでいいの?」
「ふふっ……うん」
「嫌になったら別れて俺んとこくればいいよ、ほら俺ももうすぐ高校生だからさ!夕晴たちと同じ高校目指してるし」
律くんが突然私の肩を抱き寄せる。
身長があまり変わらないせいか、顔が近かった。