黒い龍は小さな華を溺愛する。
一瞬空気が止まり、私もやばいと感じた。
常盤くんが黙っているはずない。
「ふざけんのもいい加減にしろ」
と、律くんを私から離した。
「……ふざけてねーのに」
不穏な空気を察知した私は
「いいから上に行こう!」
と、慌てて話を変えた。
「そうだな」と言って私の手を取った後。
「律、邪魔すんなよー」
とどめの言葉を発していた。
「しねぇよ!」と怒鳴った律くんは、こちらを見向きもしない。
まったく、常盤くんも子供なんだから……。
「ねぇ、挑発しすぎだよ!中学生相手に」
「あいつももう高校生じゃん、俺らと変わんねぇよ」
さっき〝まだ子供だろ?〟って律くんに言ってたくせに。
どっちが子供なんだかわかんないよ……。
二階の常盤くんの部屋に入ると、あの時のことを思い出して、急に暑くなってきた。
買ってきたジュースやお菓子を、袋から出していた常盤くんが手を止める。
「どした?」
「う、ううん……なんでもないっ」
そう言ったのに、熱を持った頬が自分でもわかるくらいで。
視線を逸らしたまま、落ち着こうと深呼吸する。