黒い龍は小さな華を溺愛する。
しばらく走って、振り返ったが誰もいなかった。
きっと相羽くんのお母さんがいたから二人は追ってこないんだろう。
少しホッとして、近くの公園のトイレまで再び走った。
手洗い場の鏡に映る自分を見て驚く。
髪はぐちゃぐちゃ、顔は汗と涙と血で酷い事になっている。
トイレ内は誰もいなくてよかった……。
個室に入り乱れた呼吸を整えていると、手がまだ震えているのに気づいた。
バッグ置いてきちゃった……でももう取りに行く勇気はない。
今もまだ信じられない。
頭の中がぐちゃぐちゃで吐き気がした。
私の裸……撮られてたよね?
なんで……相羽くん……
どうして?
そればかりがさっきから頭の中を駆け巡っている。