私の想いが開花するとき。

「……なにがまた誘ってよ。行ったら駄目なことくらい自分が一番よく分かってるはずなのに」


 はぁ、と大きく溜息をついた里穂はデスクにがんっと額をぶつけた。どうしていとも簡単に宏太は里穂の気持ちを揺さぶりかっさらっていくのだろう。自分には夫がいるのだから。何度もそう言い聞かせるがそれでも答えはもうすでに里穂の中では分かっていた。


 ただ、認められないだけ。


 もう一度あの唇の熱に触れたい。そう思っては駄目だと頭の中で繰り返しても、結局最後は宏太への想いが溢れ出してしまう。


(あぁ、駄目だ。もっと健治との思い出に浸れば宏太への思いももう一度蓋ができるはず……)


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