私の想いが開花するとき。
タクシーを降りてからも離れることのない手を引かれ宏太のアパートの玄関ドアをくぐってしまった。
もう後戻りは出来ない。
「へっ!? ちょっと宏太!?」
ひょいっと身体を横抱きに持ち上げられ宏太はずんずんと部屋の奥へと進んでいく。里穂はもう覚悟を決めて宏太の首に手を回した。
ゆっくりとベットに背をつけられ、宏太は里穂の上に跨ると、早急に着ていたワイシャツを剥ぐようにして脱いだ。
「里穂、ずっと好きだった。やっぱり転勤になる前にお前に告白しておくんだったってすげぇ後悔してる」
宏太は壊れやすいガラス細工を触るように里穂の頬を優しく包み込む。
「宏太、私も本当はずっと宏太のことが好きだった……今だってっ、んっ」
言葉を遮られ、口塞がれた。舌を絡ませ深い口付けになり息が荒々しくなる。
「んっ……んぅっ、んんっ……」
ぎゅっうっと抱きしめられ背中に回ってきた腕の力も強い。負けじと里穂も宏太の背中に腕を回し、しがみついた。酸欠になりそうだ。宏太とのキスは身体が溶けそうになる。
「里穂」
宏太の顔を見上げると初めて見た表情をしていた。
こんなに艶っぽくって雄の目をした宏太なんて、初めて見る。それが嬉しくてじわりと泣きそうになった。もう健治のことなど頭の隅にもなく全部宏太で埋まっている。誰も入る隙間もないくらいに。宏太しかいない。
宏太の手が服の中に滑り込んでくる。その手付きは少し荒くて早急に自分を求められているような気がした。