俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く～ドＳな旦那様の甘やかし政略結婚～
「なにが出てくるか、ドキドキワクワクしますね」

「そうだな」

「隆成さんはここに来たことがあるんですか？」

「ああ。アメリカに行く前にな。母さんはよく訪れているようだ。おいしかったから千里を連れてきたいと思っていたんだ」　

自分が気に入ったものを私にも食べさせたいと思ってくれたのがうれしかった。

今夜の魚料理は真鯒のポワレ、肉料理は飛騨牛のステーキだった。

盛り付け方も凝っていて、目で見ても楽しめる料理ばかりだ。

味も本当においしくて、おなかも心も満たされる。

「んー、幸せです」

食後のコーヒーを飲みながら顔をほころばせた。

「千里の胃袋は掴めたか？」

隆成さんが冗談めかして訊いてくる。

「がっちり掴まれました」

ワインをたくさん飲んでいたので、陽気な気分で答えた。

「でも心はまだ、兄さんに掴まれたまま？」

不意に光一さんの名前が出て、目を瞬かせる。

隆成さんと結婚して二カ月が過ぎていた。

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