恋人らしいこと、しよ?
 流石にそんな場所で改めてハグとかは恥ずかしい。


「いや、まあ、場所は変えるけど」

 わたしの勢いにちょっと押されつつ晴樹は人が来なそうな場所を上げてくれる。


「……じゃあ、空き教室で」

 その中から一つを選んで、わたしたちは二人で空き教室に向かった。


 誰も来なさそうなことを確認して、空き教室の真ん中で向かい合う。

「……えっと、なんか改めてしようとすると恥ずかしいね?」

「まあ、だよな……」

 なんて会話をして沈黙が落ちる。


 ……これ、どうすればいいの!?
 どっちから抱きつくの!?
 まさかわたしから!?

 沈黙の中、わたしの心は大騒ぎだった。

 でも、お互いに動けない状態は続く。


 しばらく黙り込んでいたけれど、晴樹が「その……」と気まずそうに沈黙を破った。


「ほ、ほら。来いよ」

 そうして両手を広げる晴樹。

 ドキン

 恥ずかしいとか照れ臭いとか、そういうのは消えないけれど……。

 誘うように促されて、わたしはゆっくりその胸に近づいた。


 晴樹の学ランとわたしのセーラー服がくっつきそうなくらい近付くと、晴樹の腕がゆっくりわたしを包み込む。

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