恋人らしいこと、しよ?
「ハグって、いいもんだな」
「う、うん」

「……もっとしてればよかったな」
「……うん」

 晴樹の言葉は、近づいている別れを意識したもの。

 物悲しく寒い冬の風が吹いた気がして、背中に回す腕に力を込めた。


 そうしたら、晴樹も腕の力を強めてもっとギュッと抱きしめてくれる。

「……とりあえず、今はもうちょっとこのままで……」
「うん、そうだね……」

 寒さから身を守るように、お互いにギュッと抱きしめあった。
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