スカーレットの悪女
「凛太朗、自分を追い詰めないでね」

「俺は大丈夫です、実莉さんに会えて肩の荷が下りた気分です」



手を離して向かい合うと、凛太朗の顔色に変化が。肌の血色がよくなっている。


泣いたせいかもしれないけど、表情もさっきより前向きに見えた。



「ねえ凛、志勇にいじめられてない?何かあったら私にすぐ言うんだよ!」



少しふざけた口調で心配していることを伝えると、なぜか凛太朗は口を押さえた。


その細い指の隙間から上がった口角が見えて笑っていると分かった。



「え、何?」

「そのマヌケな顔で言われても緊張感が全くないんですよね」

「……変わってないなぁ、凛太朗」



腫れた顔を笑われ、私の知っている凛太朗らしいリアクションがなぜだか懐かしい。


あと一か月したらこの笑顔も見られなくなるのか。


まあ、大希も鬼じゃないから月に一度くらいは帰省を許してくれるかな。



「で、望月大希に惚れられたってマジですか」



大希のことを考えていると、凛太朗がその話題を出してきたから驚いた。



「マジです」

「実莉さんガード硬いのに落とすなんて猛者ですね。どんな人なんですか」



ああ、このずけずけ訊いてくる感じ、私の知ってる凛太朗だ。


私はなぜか安心して笑えた。
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