やさしい嘘のその先に
そんな不満が顔に出ていたらしい。
「部外者の癖にって思ってるよね? 私も同感」
――でもごめんね、と付け加えてから稀更が続ける。
「貴女が私たちを喫茶店で見かけたあの日。――実は永田君から『妊娠中の嫁さんに嫌われているみたいだ。どう接したらいいか分からない。西園はご主人からどんな風にして欲しかった?』って相談されてたの。私、それ聞いた時『あ、奥さんのつわりの症状、〝私と一緒〟なのかな?』って思っちゃって」
そこでじっと美千花を見つめると、
「私は旦那にこうして欲しかったって……彼にアドバイスしたんだけど。多分言い方が悪くて上手く伝えられていなかったのね。――結果的に二人の関係がこじれる原因になったみたいで……ずっと気になってたの」
丁度そんな時だったのだそうだ。
総務へ律顕がやって来て、「しばらく有給を取りたい」と申請に来ているのを見掛けたのは。
美千花は家に入院のための荷物を取りに行くと言った律顕が、まさか会社に寄り道しているだなんて思わなくて思わず瞳を見開いた。
「部外者の癖にって思ってるよね? 私も同感」
――でもごめんね、と付け加えてから稀更が続ける。
「貴女が私たちを喫茶店で見かけたあの日。――実は永田君から『妊娠中の嫁さんに嫌われているみたいだ。どう接したらいいか分からない。西園はご主人からどんな風にして欲しかった?』って相談されてたの。私、それ聞いた時『あ、奥さんのつわりの症状、〝私と一緒〟なのかな?』って思っちゃって」
そこでじっと美千花を見つめると、
「私は旦那にこうして欲しかったって……彼にアドバイスしたんだけど。多分言い方が悪くて上手く伝えられていなかったのね。――結果的に二人の関係がこじれる原因になったみたいで……ずっと気になってたの」
丁度そんな時だったのだそうだ。
総務へ律顕がやって来て、「しばらく有給を取りたい」と申請に来ているのを見掛けたのは。
美千花は家に入院のための荷物を取りに行くと言った律顕が、まさか会社に寄り道しているだなんて思わなくて思わず瞳を見開いた。