身代わり少女は主人を慕う
「いいから、放して下さい。」

「ああ、もう!」

そう叫ぶと、美晴さんは膝をついて、将吾様の足元に膝間づいた。

「そのお顔で、もっと叱って。」

「美晴さん。」

「いや、美晴と言って。」

将吾様は、無理に引き離すでもなく、叱る訳でもなく、ため息をつきながら、美晴さんを見降ろしていた。

「さあ、立ってください。美晴さん。」

「ふふふ。手を引いて。それぐらいいいでしょう?」

将吾様は、美晴さんを立ち上がらせる事もせず、そのまま部屋の中に戻って行ってしまった。


「ああ、今日も将吾さんの、綺麗なお顔を見れたわ。」

私はそれを見て、ゾクッとした。

あまりにも、狂愛に満ちた目をしていたから。


妹に手を出そうとする夫に、義理の弟に手を出そうとする嫁。

一体、どうなってるの?この夫婦。
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