身代わり少女は主人を慕う
その時だった。

「将吾さん。」

将吾様を後ろから抱きしめる、女性がいた。

「美晴さん。」


えっ?

美晴さん!?

どうして、この庭に?


「やっと、二人で会えましたね。」

すると将吾様は、美晴さんを引き離した。

「誰かに見られますよ。」

「もう、意地悪なんだから。」

そう言って、美晴さんはまた、将吾様の腕にしがみつく。


やめて!

将吾様にくっつくのは、やめて!


「知っているのでしょう?私があなたに、惹かれている事を。」

はあ?

何を言い始めるの?この人。

「残念ですが、私には心に決めた人がいます。」

「あら。もしかして、音羽さん?」

将吾様は、美晴さんを睨んだ。

「ふふふ。怖ーい。冗談でしょう?」

将吾様は何も、答えない。

「およしなさいな。そんな馬鹿な事は。」
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